ボート転覆事件

その日、東京湾に浮かぶ猿島付近は鏡のようなベタ凪でした。三浦半島の安浦港から手漕ぎボート借り、友人と2人でジグザクに漕いで猿島の近くまで来ました。

メバル、カサゴ、キスなどが沢山釣れるポイントを探していました。何回目かのポイント変えの時、ミヨシの石のアンカーをエッチラエーチラと私が引き上げていましたが、友人は後ろを向いて小用を足していました。
お互いが見合っていないために、一寸した事で突然2人はバランスを失ってボートを転覆させてしまいました。

転覆したボートは、簡単に起こせましたがボートの中は水浸し。勿論、竿、リールその他は海に沈んでしまいました。残ったのはクーラーだけでした。必死にボートの水を掻い出しましたが、疲れてボートに摑まるとドーット海水が満たされ、元の木阿弥。幾らやってもボートの中の水を掻きだす事が出来ませんでした。

諦めて大声で「助けてくれー」、「おーい」と泣き叫んでも誰も助けに来てくれません。

人間とは不思議なものでこのような場合でも、ボートの中のスノコ板が流れそうになったり、オールが流れそうになると戻したり、結構せこい事をやっていました。

いくら泣き叫んでも近くに見える釣り船は気が付いてくれません。声は聞こえているようでキョロキョロと船の釣り人が捜しているのが見えました。どうして私達を見つけられないのか。
もう転覆してから30分くらい立った気がする。諦めてボートを捨てて泳いで帰ろうかと覚悟をほぼ決めました。

最後にオールを立てて振りながら大声を立てると一発で見つけてもらえました。頭は見えなくとも2mもあるオールは、釣船の人には見えたようでした。

釣り船に助けられ母港の安浦港まで帰り、服を乾わかして、さて如何するかと友人を見ると、午後のアジ船に乗ろうと言うのです「そんな馬鹿な」。結局一升瓶をお礼に渡した釣り船の午後便に、馬鹿な釣り人が2人乗り込むことになりました。

後日談

会社の釣クラブの人に「実は以前、ここでボートを転覆させた事があるのですよ」と話していた時、「あの鏡のような海でヒックリ返っていたのはお前達だったのか、俺はあの船に乗っていたぞ、馬鹿な奴がいたもんだと大笑い者だったぞ」「そ、そ、そんな馬鹿な


大形カワハギと竹竿

その日は久里浜からのカワハギ釣の例会でした。カワハギの喰いが渋く1匹1匹が貴重な魚でした。
突然、私の隣に座っていた大艫の友人が変なものに根掛りをしてしまったと嘆きながら、リールを巻き上げていました。どうも根掛りの原因は海の底にあった切れた釣り糸ようでした。

不思議なことに、友人は切れた釣り糸から当たりを感じるそうで、釣り糸を手繰り寄せると元気な大形カワハギが上がってきました。「え!」

今度は、反対側の切れた釣り糸の他の端をどんどん引っ張ると、最後には立派な竹竿とリールが上がって来た。「そ、そんな馬鹿な」

カワハギが元気であったから、数時間前に誰かが大形のカワハギを釣った時、手を滑らせて、竿を落してしまったのでしょう。「だれか釣竿とリールを落した人はいないか」と、船長が僚船に尋ねたが、該当者がいませんでした。

隣の私の竿に掛かれば良いのに、大形カワハギと竹竿とリール一式を手に入れたとラッキーな人もいるもんだ。可哀想なのは釣竿を落した人、ご愁傷様でした


ゴミ箱からの生還

平塚の浅八丸へ釣りに行った時の事でした。
釣果は別として、今日も楽しい日だったと快い疲れを感じながら、コンビニ袋にゴミを片付け、船に備え付けのゴミ箱に投入しました。

浅八丸も海を汚さないように、ゴミ箱を備えてある船宿です。
船宿によっては船長が、タバコの吸殻やバナナの皮などを操舵室から海に捨てているような船もある。そんな船長のいる船宿には行きたくない。

家に帰って荷物を整理していたが、どうしても携帯電話が見つからない。家の電話機から携帯に電話すると呼び出している。しかし、家の中には呼び出し音が聞こえない。
よく車の中に忘れることがあるので、車を探してみたが見つからない。再度息子の携帯を借りて車の横で呼び出したが、車の中からは呼び出し音が聞こえない。

はて、何所で呼び出しているのか、今日は船宿から何所にも寄らずに家に帰ってきたから、途中で落とすことはない。もしかしてゴミを片付けたコンビニ袋の中に。

浅八丸に「これこれの理由でコンビニ袋から携帯が鳴っているので確かめてもらえませんか」電話をした。船長は「ゴミは集めて燃やしたから、それは無い」との事であった。

しかし、相変わらず呼び出しているので、船長に携帯の番号を告げて、船の近くで呼び出して貰った。すると燃え残っていたゴミ箱の中から、携帯の呼び出し音が聞こえるとの事だった。

浅八丸さん、どうもありがとう御座いました。また冬になったらアマダイを釣りに行きます。



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